太郎の事例における文脈の役割

Authors

  • Kanazawa 金沢吉展

DOI:

https://doi.org/10.14713/pcsp.v11i4.1940

Keywords:

アクセプタンス・コミットメント・セラピー, 治療関係, 家族システム, 組織内の力動, 感情

Abstract

評者は,著者らがこの事例研究を発表したことに敬意を表したい。本論文は,行動的に観察可能であること,そして確実に定量化できることを報告することに力点をおいた点において注目に値する。科学的厳密さに対する著者らのコミットメントは称賛に値する。日本の心理臨床家は,本論文の心理面接セッションの記述を,エビデンスに基づく心理介入の一モデルとして参考にできるだろう。もう一方で,評者は,職場における問題と職場での彼の症状,家族内での葛藤などを含め,クライエントの太郎を取り巻く文脈的要素,彼の主訴,そして,治療関係,面接における彼の感情とそれに対するセラピストの反応,彼のセラピーについての検討があれば良かったと感じた。これらの変数を,信頼性をもって測定できる尺度がすでに開発されている。太郎とセラピストの作業の中にこれらの尺度が導入されると読者も治療的プロセスをよりよく理解し,この事例研究における変容メカニズムも浮き彫りになるはずである。

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Kanazawa 金沢吉展

金沢吉展

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Published

2016-01-01

Issue

Section

Japanese: Commentaries on and Authors' Response to Muto & Mitamura's ACT Case Study of "Taro"